toki ponaを独習し始めたひとのための文法セルフチェックシート

toki ponaの特徴といえば、なんといっても単語の少なさ。でも、これだけ少ない単語でなんとか意思が伝わるのは、文法によって解釈の仕方がそれなりにしっかり決まっているからなのです。toki ponaの文法は、単語の形が変わること(屈折)がないことや、SVOの語順など、英語に似ているところもありますが、違いもあります。しっかりと文法に則った文を書くことで、伝わるtoki ponaを目指しましょう!

もくじ

li忘れ kala pona. kala li pona.
e忘れ ona li moku kala. ona li moku e kala.
疑問文 kala li pona? kala li pona ala pona?
/ kala li pona anu seme?
固有名詞 Nimo li pona. kala Nimo li pona.
pi kala pona mute kala pi pona mute
従属節 mi toki e kala li pona. mi toki e ni: kala li pona.
文頭大文字 Kala li pona. kala li pona.
主語以外のen mi moku e kala en soweli. mi moku e kala e soweli.
kepeken e mi kepeken e kala. mi kepeken kala.
kepeken + 言語 mi toki kepeken toki Nijon. mi toki lon toki Nijon.

はじめたばかりの人

li忘れ

kala pona.

kala li pona.

魚は良い。

liは、主語を示す部分(主部)と、述語を示す部分(述部)を分ける単語です。主部を言い終わったときには、原則としてliを置かなければなりません。そうしないと、たとえば上の文では、pona「良い」はkala「魚」の修飾語であると見做されてしまいます。つまり、「良い魚」という意味になってしまうのです。

ただし、例外があります。主語がmi「私」とsina「あなた」のときは、liを置きません。なお、主語にmiやsinaが含まれていても、2語以上のときはliを置きます。例えば、kala sina「あなたの魚」やmi mute「私たち」が主語のときは、liが必要です。また、ona「彼/彼女」やjan「人」(=英語のyouやtheyのように、一般に人がするものごとを表すときにも使える)といった単語は、英語だと代名詞となるため一緒くたにしたくなりますが、やはりliが必要です。

混乱してきましたか?原則は必要ですから、「私は」と「あなたは」だけが例外。これだけ覚えておけば大丈夫です。

e忘れ

ona li moku kala.

ona li moku e kala.

彼/彼女は魚を食べる。

eは、動詞と目的語を分ける単語です。動詞とそれを修飾する単語の塊(動詞句)を言い終わったときには、必ずeを置かなければなりません。さもなくば、たとえば上の文では、kalaはmoku「食べる」の修飾語であると見做されてしまいます。つまり、「彼/彼女は魚的に食べる」という意味になってしまうのです。

疑問文が?を付けただけになっている

kala li pona?

kala li pona ala pona? または kala li pona anu seme?

魚は良いか?

疑問文は、ただ文末を上げて発音するだけでは作れません。疑問文の作り方は二種類。一つは、(動詞) ala (動詞)という形にすること(日本語や英語では形容詞になるような単語も同じです)。もう一つは、文末にanu semeをつけることです。

なお、toki ponaの読み方は、単語の最初の音節にアクセントがあるという以外は特に決まっていません。そもそもアクセントを高く読むのか強く読むのかも、pu(公式文法書)には書かれていないのです。したがって、文末を尻上がりに読む必要があるかどうかも特に決まっていないのです。

固有名詞をそのまま使っている

Nimo li pona.

kala Nimo li pona.

ニモは良い。

固有名詞をそのまま使ってはいけません。固有名詞を使うときには、それが何であるかを先に言う必要があります。たとえば(映画《ファインディング・ニモ》の)ニモは魚なので、魚という意味の単語kalaを先に置いて、kala Nimoとします。

あれっ、でもニモの英語の綴りはNemoですね。kala Nemoにしなくてもよいのでしょうか。toki ponaで、外国語の固有名詞を持ってくるときには、ふつう、toki ponaふうに直して書きます。たとえばスイミー(Swimmy)は、/swi/という音節はtoki ponaにはないので、kala Simiになります。ただし、そうすると通じそうにないというときには、書き方だけ、kala Swimmyのように元の綴りを書いても構いません。


慣れてきたひと

puの単語は一通り覚えたけれど、あまりtoki ponaの読み書きになれていないうちについついやってしまうミスたちです。

piを使っていない

kala pona mute

kala pi pona mute

とてもよい魚

kala pona muteのように、修飾語が複数ついている単語の場合、修飾関係は前から考えていきます。つまり、kala ponaがはじめに一まとまりになります。kala pona「よい魚」がmute「多い」というわけです。もし、pona muteなkalaだと言いたかった場合、特別な言い方をする必要があります。それがpiです。piのあとに来る言葉は、先にひとまとまりにすることになっています。この場合、pona mute「とてもよい」が一まとまりになり、そんなkala「魚」、とてもよい魚ということになるわけです。

ただし、例外があります。色を表す言い方と数を表す言い方は、piを付けずに、その部分を一まとまりにして考えます。

従属節を作ってしまっている

mi toki e kala li pona.

mi toki e ni: kala li pona.

私は「魚はよい」と言う。

英語では接続詞や関係代名詞のthatを省略することができます。だから、I think he will come.のように、ひとつの文をそのまま動詞の目的語として使っているように見える文を作ることができます。でも、toki ponaにはそのようなルールはありませんし、接続詞や関係詞もありません。だからtoki ponaでは、まずni「これ、それ、あれ」という単語を仮で置いて、その内容は次の文で表します。ラテン・アルファベットを使った書き方では、そういう場合には、二つの文の間をコロンで繋ぐことでわかりやすくします。sitelen ponaには句読点の決まりはありませんが、ほかの文字とバッティングすることはないので、使っても構わないでしょう。


困りはしない誤り

このページは、もともと曖昧なtoki ponaが、文法上の誤りによってもっと曖昧になってしまい、その結果学び始めたひとがtoki ponaに失望して去ってしまう、そういうことを危惧して作りました。ただ、チェックシートと銘打っている以上は、あまり曖昧さには関係ないようなことでも入れておくとよいかと思い、おまけで入れるものです。ここではいろいろなレベルの誤りを混ぜて入れておきます。

文頭を大文字にしている

Kala li pona.

kala li pona.

魚はよい。

ラテン・アルファベットで書く場合、文頭は小文字です。一方、固有名詞は大文字で始めます。sitelen ponaには大文字・小文字の別はないので無関係です。


判断の分かれる言い方

pu(公式文法書)やそのほか制作者jan Sonjaの著作では避けられているものの、toki ponaコミュニティの中ではそれなりに中心的なひとでも使用していることもあり得るような文たちです。当然、それゆえ困りはしない誤りでもあります。

主語以外でenを使っている

mi moku e kala en soweli.

mi moku e kala e soweli.

私は魚と肉を食べる。

日本語の「と」に当たる言葉はenです。ただし、この言葉は、「~と~は」のように、主語を繋げるときにしか使いません。「~と~を」や「~と~で」、「~して~する」といったように他の要素をつなげるときは、liやe、前置詞を繰り返します。

kepeken e

mi kepeken e kala.

mi kepeken kala.

私は魚を使う。

puでは、kepekenは前置詞「~を使って」と定義されているため、eは伴いません。一方、toki ponaでは品詞転換は比較的自由なので、前置詞を動詞に転用し、その結果eを伴ったとしても誤りとは言い切れません。個人的には、意味が変わらないのであれば、puの言い方に従うのがシンプルで無難かと思います。

余談ですが、toki ponaでは品詞転換は比較的自由と書いたものの、前置詞でないものを前置詞にするのはやめたほうがいいです。というのも、前置詞のあとに来る言葉は、一まとまりのものとして考えるでしょう。kepeken palisa ni.といったら、palisa「棒」とni「これ」が先にひとまとめになり(palisa ni「この棒」)、「この棒を使って」という意味になるわけです。ということは、mi moku e pan kepeken palisa ni.「私はこの棒を使ってご飯を食べる。」のような文で、修飾の順番を考えるうえでは、前置詞kepekenはpiと同じような役割をもっているのです。言い換えれば、文法的機能のみをもった単語piに意味を付け加えたものが前置詞であるとも捉えられます。ある単語が前置詞であるかそうでないかは、修飾の構造を考えるうえで決定的な役割を果たします。それゆえ、もしあらゆる単語が前置詞に転用できてしまうと、修飾の構造を決定する手段がなくなってしまうのです。なお、puが定義している前置詞をすべて挙げると、kepeken「~を使って」, lon「~で(場所)」, tan「~から、~だから」, tawa「~に」の4つです。

kepeken + 言語

mi toki kepeken toki Nijon.

mi toki lon toki Nijon.

私は日本語を話す。

制作者jan Sonjaは、使用言語の前置詞にはlonを使っています。ただ、いかにも制作者の母語の干渉という感じもしますし、kepekenでも意味は通じるので、いいような気もします。


おわりに

いかがでしたでしょうか。このページは、toki ponaを学び始めたひとを萎縮させる目的でつくったものではありません。どんな言葉であれ、学び始めは、後からするととても初歩的に思えるような間違いを真剣に犯すものです。ですから、このページの目的は、あくまで成長を目指すひとの自発的な復習を助けることにあります。ですから、どうか怖がらずにいてください。

toki ponaのコミュニケーションには、たしかに曖昧なところが数多くあります。しかし、文法上の工夫によって、少ない語数ながらも、シンプルながらなるべく曖昧さを減らそうとしている側面もあるのです。toki ponaを少し学んだひとが、その語数の少なさのあまり、toki ponaを曖昧で実用性に乏しいものだと感じ、投げ出してしまうことはよくあります。しかし、それはとても勿体のないことだと思うのです。

これからもぜひよいtoki ponaライフをお過ごしください。tawa pona!

sina pona pi toki pona la...

sina ken sitelen e ijo sin lon lipu ni. sina ken pana e toki sina lon lipu Twitter lon lipu pi nasin Fediverse lon lipu Github. sina ken lukin e lipu Misskey mi kepeken lipu Bluesky sina.

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