les impressions et les expressions

ぽーらんど語の母音交替について

des alternances phonétiques en polonais
originel, 04 jui 2022
mis à jour 07 juin 2022

ぽーらんど語なんもわからん。

ぽーらんど語をやりたしと思へども、ぽーらんど語はあまりに難し、せめては新しきニューエク抱え気ままなる旅に出でてみん。

ぽーらんど語をやりたい気持ちがあるのですが、やりたくない気持ちもあります。単語覚えたくない。任意の言語単語覚えるのつらい。でもそれだけではなくて、スラヴ語はよくわからない謎の変化が多くて面倒くさいです。そこで謎の変化をひたすら愛でる遊びをします。

なんこうさんはスラヴ語がひとつもわからないので、下記は思考の流れをただなんとなく書き散らかしてみているだけです。ご了承ください。

ここに一冊のニューエクがあります。さしずめtu jest ニューエクという感じです。144ページを開いてみましょう。母音交替の話が出ています。たのしいね。

ひとつめがą/ę。mążの単数生格はmężaになるそうです。ウィクショナリーで引いてみたらhusbandって書いてあったのでмужって感じ。たぶん格語尾がついたことで閉音節から開音節になったのが交替の原因って感じですね。いま間違えて「げいいん」って入力したので交替の鯨飲が発生しました。

さて、ウィクショナリーで古い語形を探してみましょう。スラヴ語で古いといったら……そう、古代教会スラヴ語ですね。(古代教会スラヴ語が南スラヴ語派であってぽーらんど語の直系の祖先でないことはわかっています。)мѫжьって出てきました。よくわかんないキリル文字がいるせいで入力ができません。Ctrl + V最強。よくわからないキリル文字はѦとѪを覚えておけばよくて、前者はɛ̃、後者はɔ̃って言われています。あとのよくわからないキリル文字は、ふつうの文字にiみたいなやつがついているだけです。

話が逸れました。さて、ウィクショナリーでмѫжьの格変化を見ると、母音交替がありません!! よく考えたらそれはそうで、ьは(現代ブルガリア語と同様)古代教会スラヴ語では母音を表すので、単数主格のмѫжьは普通に開音節なんですね。ふええ。

さて、現代では多くの言語でьが母音ではなくなっているので書かなくなっているわけですね。なんとなく1918年以前のロシア語の正書法を見てみたら案の定мужъでした。ъってキーボード上でなんとなくьの近くにあると思ったら全然そんなことなかった。でもуは調音コスト高めだからか母音交替はしないんですね、なるほど。

ちなみにぽーらんど語のżは機能的軟子音。rzと合流していて、発音はʒ。もともとは軟音だったけど発音変化の結果そうではなくなったやつですね。にゃーん。ぽーらんど語の正書法をちゃんと覚えてなくて、ロシア語の似ている単語とかからこんな感じの発音かなってなんとなくで想像して読んでいるので機能的軟子音がどれかとかわかりません。だめだめですね。

では、同じぽーらんど語でも、wąs「口ひげ」はどうでしょうか。ウィクショナリーを見ると……母音交替しません!! そこで今度は古代教会スラヴ語の語形を……調べようと思ったのですが、ウィクショナリーだと出てきませんでした。かなしい。なんとなくвѫсъじゃないかっていう気がしていて、そういう風にいっているサイトも謎のやつが一件だけあったのですが、いかんせん謎なので困ったねっていう感じ。一応再建されたスラヴ祖語の語形はǫ̃sъらしいです。さて、ъもやっぱり母音なわけで、そうすると開音節が閉音節になったっていう点ではmążもwąsも同じなんですよね。一応硬子音か軟子音かが違うっていう話なのですが……

何を調べたいんだかわかんなくなってきました。次に行きます。rękaが複数生格でrąkになるらしい。 これрука́ですね。рука́といえばかの悪名高いアクセント移動のある単語で、語尾が∅になる複数生格と、単複の対格、複数対格と同形の複数主格でアクセントが語幹に移動します。単数対格はру́куで、これはぽーらんど語だとręcęなので、一瞬語尾が鼻母音だとアクセントが来られないのかなあって思ったのですが、複数は普通にręceなので違いますね。なんもわからん。

こんな感じで、ѫは開音節だとę、閉音節だとąになるんだろうなあっていう気持ちになったわけですが、そういえばrąkは硬子音終わりですね。kはロシア語でも正書法の規則でкыが許されなかったりするので、純然たる硬子音かと言われると微妙い気もするのですが、いずれにせよよくわかりません。もっと他に語例があればいろいろはっきりするのでしょうが、スラヴ語を知らないので思いつけなくて調べられません。ざんねん。

お次はóとoの交替です。調べるのめんどうくさくなってきた。どうせ開音節のoが閉音節だとóになるんでしょ。

続いてeと∅の対応。ニューエクの語例はksiążka / książekです。と思ったらこれはksięgaの指小形らしい。この単語は一応кнегаと繋がっているらしくて、ウィクショナリーを見ていたら、その語源にはドイツ語、アッカド語、中国語との関連を指摘する仮説が書いてありました。ほんまか?

ともかく指小形だったので他の語を探します。だって語対応考えにくいもの。とすると……ぽーらんど語をなんもわからんぼくみたいなひとがすぐに思いつくのは、そう、деньですね。ロシア語のденьは、格語尾がつくとднь-になります。最後は軟音化するので、実際の現れ方は、軟音化した格語尾の母音がついて、днь- + -ы > дниみたいな感じです。対応するぽーらんど語は……dzień。dzはdが軟音化した形で、次のiが軟音化を表しています。各語尾がつくとdń-になるらしい。例えば単数生格はdniaです。うーん、なんか軟音化のせいで微妙な感じになってしまいました。よく考えたらロシア語のеが軟母音なのでそれはそうだねっていう感じ。古代教会スラヴ語ではдьньでした。妥当。

消化不良ですが次へ。a ~ e交替です。語例はlato。ロシア語のлетоですね。ぽーらんど語でもロシア語と同様、意味はすでに「夏」になっています。複数ではrokの補充形として「年」の意味にもなるそう。というか夏を複数にする機会って思いつかないのでほぼ「年」にしかならなさそう。英語のsummers areで検索してみたらsummers are getting hotterっていう記事が出てきました。

さて、話をぽーらんど語に戻します。a ~ e交替が起こるのは単数前置詞格のlecieのみです。ロシア語ではлетеになるだけなので何も起こりません、そう、アクセント移動さえ。古代教会スラヴ語ではлѣтѣ。ѣってなに。さっき鼻母音さえ覚えとけばよくわかんないキリル文字はマスターとかほざいてたひとでてこい。どうにも軟母音らしいです。まあlecieがcなのでそうなんだろうな。

もうひとつ、mieć "to have"の三人称単数男性過去がmiałらしいです。こちらもロシア語ではимелなので何の変哲もありませんね。古代教会スラヴ語ではимѣти。ω系の活用とμι系の活用が両方あるらしいです。というわけでやっぱりѣがわるさをしているんですね、どうにも軟子音の前で。

最後にo / e。zmęczonyが複数男性人間ではzmęczeniになります。複数男性人間は軟音化が起きるので、つられて母音が交替しているんでしょうね。оとеの交替はロシア語でもなんとなく親しみがあります。じゃあёってどっから出てきたんだ……?

というわけで、発生条件がわかったりわからなかったりしましたが、母音交替でした。まあよくわからない場合でもなんとなく怪しさへの感覚をつければ調べられるのでましですね。以上、ぽーらんど語なんもわからんという話でした。

(6月7日追記)けーさんが考えてくれました:

https://t.co/8rbBX4hfPF
これ読むとwąsが例外に見えてきたのでさっきの無しにしていいですか?

— 一ノ宮けーさん (@onepalacekey) June 7, 2022

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