les impressions et les expressions

履修登録のすすめ

Comment choisir les cours à suivre ?
originel, 27 mars 2024

もうすぐ新学期ですね。この時期になると履修を巡る言説が百家争鳴になりますが,私も堪えきれず思いのたけを書いてみたくなってしまったので,書きつくることとします。二次・三次の登録期間はまだ少しあると思うので,時機を逸した人になっていないとよいのですが。

なお私は私立大学の非計量系の社会科学の学生です。非計量系は計算や法則の習得が少なく,試験よりもレポートになりやすく,授業内容も理系や経済学のように学ぶべき方法論がたくさんあるというよりかは,それぞれの細分化された学問の入口として用意されているものが多いと思います。

私はこんどで学部四年生で,学部生としては一応履修登録の経験が長い者ではありますが,もちろんTAのような授業側の立場に立ったこともなければ,今後研究で身を立てるため計画的に履修をしている者でもなく,単純に興味で授業を選んでいる者にはなるので,あまり研究の参考にはならないと思いますし,また一方的に授業を受けるばっかりなので非常に生意気ではあるのですが,せっかくなので学部でなんとなく身に着いた肌感覚を一度文章という形で残してみたかったということで,分かっていただけたら幸いです。

取ったほうがいい授業

研究者として現役で活躍されている先生方の授業はやっぱり取ったほうがいいです。最新の知見が事細かに学べて面白いし,リアルタイムに接している分先生方もその分野に対して熱がこもっていてやりがいがあります。また,活躍されている先生は話したいことがたくさんあるのでしっかりと知識を体系立てて学べるようになっていて,意味のないグループワークなんかは少ないことが多いと思います。更に,活躍されている先生はお忙しいので無駄な課題が少なく,あっても授業をある程度聞いていれば秒殺できるようなものばかりです。特に国際学会で活躍されている先生は仕事ができる人が多いので課題についてこの傾向にいっそう拍車がかかると思います。

活躍されている先生は科研費のデータベースか大学の研究者データベースを見るとわかることが多いです。論文などを精力的に執筆しており,少なくとも数年に一度は査読つきのものを発表している方は,単に教壇に立つばかりでなく,研究者としても現役でしっかりと活動されている方といえると思います。

また,少し嫌な見方にはなってしまいますが,高い学歴を有していらっしゃる方は活躍されており,授業も面白い傾向が強いです。海外の有名な大学で博士号を取得されている方はやはり面白いです。

少し違う観点として,ニッチすぎて誰も取らなさそうな授業は,面白そうだと感じるのであれば絶対に取ったほうがいいです。そういう授業は先生の興味分野に直結していることが多いので非常に面白いですし,クラスも極端な少人数になるのでクラス内で同好の士を見つけることができたり,場合によっては先生と個人的にお話をする機会に恵まれたりすることもあります。自身や周囲の意識の高い学生の理解度が授業のレベルに直結するため非常に心地よいスピード感で授業が進むことが多いです。

取らないほうがいい授業

取ったほうがいい授業のちょうど反対にはなりますが,正直に申し上げると,近年あまり目立った業績を出されていない先生方の授業は,学部生の入門としてもあまり興味を掻き立てられないことが多いです。

特に,修士課程を修了されてでそのまま教授になられたご高齢の先生方の中には,ここ20~30年一度も査読論文を書かれず,場合によっては学術的な形式の論文すら書かずに,雑誌のコラムのようなものばかり書かれている方もいらっしゃいます。特に学部と修士が同じで,修士を取ってからもずっと同じ大学にいらっしゃる方は……。もちろんその先生のご専門の分野に強い興味があればどのような授業であっても面白く打ち込めると思うのですが,まだその分野にあまり精通しておらず,これから興味を広げていくような段階であれば,却ってつまらない授業が関心の芽を摘んでしまうかもしれません。

取ったほうがいいか微妙な授業

学内で組織的に高い地位にいらっしゃる方は必ずしも活躍されているとは限りません。もちろん研究と学内のお仕事の双方をばりばりこなされている高名な方もいらっしゃいますし(私の学部の学部長もそうです),あるいは今でこそ一線から退かれたものの大変重要な業績を残されている方もいらっしゃいます。一方で,研究より学内政治に長けていらっしゃる方がいらっしゃるのも事実です。こればっかりは見分けもむずかしく,なんとも言えません。

また,活躍とは別の軸として,教育に熱心すぎる先生方の授業も私にとっては少し考えものになります。ただし,これはかなり人によって感じ方がわかれるかもしれません。見分け方としては,必修でない学部生の授業を数多く持たれており,シラバスが懇切丁寧で非常に計画的かつ体系立っており,更に毎回一定量の課題提出が求められるものがそれです。もちろん知識吸収の場として非常によく考えられた授業づくりをしてくださっているのは非常にありがたいのですが,授業が考えられすぎていると,なんだかこなすべきタスクじみてきてしまって,逆にこちらが主体的に興味をもつようなことはしにくいですし,先生方もご自身でお考えの進め方というのがあるので,実のところこちらの興味ベースの主体性が必ずしも歓迎されるとは限りません。更に,教育についての流行の言説に敏感な分,無駄なグループワークなどが取り入れられているものも多いです。

さらに,必修でないのに概括的すぎる授業も微妙です。これは大抵まだ教授職を得られていない若手の先生が他の大学から来られて担当されていることが多く,先生の経歴から推測することもできます。このような授業は上記のケースとは異なり,先生方がどんなに心血を注がれていても構造上面白くない印象を受けることが多いものです。というのも,概括的すぎる授業は先生方にとっても専門外の分野が多く含まれるため,授業に備えて沢山勉強してきてくださっている方が多いとはいえどうしてもやはり薄くなりがちですし,仮に興味深い事実があったとしても,授業時間の都合上そこまでは踏み込めないことが多いのです。更に,(これは私の問題でもありますが)必修の概論は教科書がしっかり指定されている上試験も厳しく確実に暗記をしなければならないため,ある程度成長の実感があったり,後々役に立ったりするものなのですが,必修でなく,またそもそも教科書もしっかり出版されてはいないようなスライド中心の新しい概論になると,試験やレポートも緩く,またしっかり対策しようにもスライド以上の良いまとめがなかったりして難しいことが多いのです。歳も比較的近くて親しみやすく,また昨今のアカデミアのポストを巡る事情を存じ上げていると一層先生方のことは応援したくなるのですが,授業についてはなかなか興味が湧きづらく,またその割には必修でないために課題なんかも適当にやることになりがちで(これは私の問題です),結果として非常に心苦しい思いをすることが多いです。ただし,概論的な授業を取ることは重要であるとも思うので,面白さひとつで判断すべきかはわかりません。

加えて,ややニッチな分野の初歩的な授業で学生の主体的な発言機会が多く同時に先生が共感的過ぎる場合も微妙だと感じます。語学の授業が結構これにあたります。もっとも先生のお人柄は取ってみないとわからないのですが……。というのも,ややニッチな分野では先生方はできるかぎり門戸を広くしようとなさっていることが多い一方,初歩的な授業だと,いわゆる楽単目当てで碌に興味もないのに履修している学生が多く,結果として周囲の学生の態度が授業の内容に大きな悪影響をもたらしてしまう場合が多いのです。一方,これを我慢して中級以上にいけば途端に面白くなる授業だとも感じます。

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