梢の色の何とかは知る
la consommation culturelle
originel, 28 mars 2024
高殿はるか仰ぐ下谷にありつる夕べの声響く
御寺の桜の名は高かれど一輪の名は誰も知らで
今日も御寺か川の堤か論ふこそ色といへ
気高き松の永き月夜も知らで何をか知るべきぞ
花の紅きは花にはあらでニュッと突き出す柱頭に
弁にうぐゐす留まるを色といふはみ親の教へるや
近江の海の冷たき風のごとく覚めたる朝ぼらけ
知ると知るとぞ宣ふ者に誰かまことを悟るべき
右は、上野なる藝大の大吉原展にまかりて書きつくりたるを、腰折れなれば慎ましく覚ゆれど、春立てる霞のごと、知らぬ間に消えて忘らるるは惜しければ、忍びやかに書き置くものなり。